PARALLEL DIGITAL NOVEL
イフォの世界
並列観測|荒天
並列デジタルノベル
左の観測と、右の物語。
二つの時間を、同じ画面でたどる。
音が流れます · スマホ・タブレットは横向き推奨(縦向きでも閲覧できます)
PATTERN ① · SLIDE OBSERVATION
スライド観測|No.02:荒天
並列デジタルノベル
イフォの世界|並列観測|荒天
イフォの世界
ユニバース学園で、嵐が近づいた日のこと。
窓際の実習室には、光を分ける透明な板と、水を張った浅い皿が並んでいた。
空が暗くなっても、片づけの合図は、まだ来ていなかった。
窓の外が、白く光った。すぐに、窓際のイフォが机を二度たたいた。とん。とん。机に手を置いていた別のイフォが、音の来る前に体を低くした。
そのあとで雷が鳴った。一歩下がった足元で、机の端の透明な板が細く震えた。
大きな葉を持つイフォが、窓の前の薄い幕を半分だけ閉じた。
実習室には、光が残る場所と、暗くなる場所ができた。
雷が止んでから、ゆっくり色を変えるイフォもいた。音を聞き終えたころ、別の誰かには、まだ続きが届いているようだった。
二度目の光。とん。とん。今度は机のふるえを見て、透明な板の箱へ手を添えた。
雷鳴が来ると、箱の中で板が小さく鳴った。床をすべる台が、窓側から奥へ道具を運んだ。幕を全部閉じる者はいなかった。
窓の光を見ているイフォと、暗い側で机に触れているイフォが、同じ実習を続けた。
嵐が遠ざかるにつれ、光と音のあいだは長くなった。二度の打音も、少しずつ離れていった。
最後の雷が聞こえなくなったあと、水を張った皿に、細い輪が二つ広がった。何かのふるえが、遅れて水へ届いたらしい。輪が消えるまで見ていた。
音を見たのは、たぶん、そのときだった。見えたものが音だったかは、まだ分からない日の話。

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